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カトクミメモ katokumi.exblog.jp

ケンチク&音楽修行中!


by kumi-is-happy

マキシム・ヴェンゲーロフ マスタークラス その②

ヴェンゲーロフのマスタークラス、休憩なしでどんどん続きます!

3番目、辻彩奈さん。曲はチャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調より第1楽章。強い音で迫力ある演奏です。「音が声になっている」と、しっかり歌えていることへの評価とともに、テクニック面でのアドヴァイスがたくさんありました。首をリラックスさせる。右手で弓を押さえつけない。左手を滑らかに動かし、音と音との繋げ方を考えること。いろいろな弓のスピード、いろいろなヴィブラートのかけ方を習得し、フレーズによって変化させること。

5番目、小林壱成さん。ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調より第3楽章、第4楽章。「スコアを持ってきましたか?」と聞くヴェンゲーロフ。(持っていませんでした)コンチェルトを弾くときには必ずスコアを勉強し、オーケストラパートとの絡みを考えること。これはコンチェルトを演奏した人全員に言われていました。

7番目、福田ひろみさん。シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調より第1楽章。「この曲は史上最高のヴァイオリンコンチェルトだと思います!」とヴェンゲーロフ。本当に美しい曲ですよね・・・心にずーんときます。「演奏家の役割は、作曲家の意図を伝えること」。曲の場面(色)が変わるときには、音色を変える。「違う世界へ行けるように!」というヴェンゲーロフ。歩いていたら、突然崖っぷちに遭遇して驚く!犬に吠えかかられる!そんな「はっ!!」とする場面を音にする。

8番目、岡本誠司さん。イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタより第2番。この曲はT先生の無伴奏リサイタルで最も感動した曲です。言って良いのかわからないけど、T先生が髭&髪伸ばしっぱなしの「汚れ熊」状態でボロボロになるまで精魂こめて弾く!というイメージ(実際は違います💦)な曲。に比べて、岡本さんの演奏は美しすぎたかな・・・。「pの音が制限されている・音が小さすぎる」と言うヴェンゲーロフ。弓をコントロールしすぎている、とのこと。「あなたの演奏は先が予測できてしまう。もっと聴く人にショックを与えるべき」。そしてイザイの曲については横のラインだけでなく、縦のハーモニーを感じること。続けて弾いた2楽章は繊細な演奏で、とても褒められていました。

ヴェンゲーロフが8人のレッスンで共通して言ったことがたくさんありました。いろいろな音楽の場面を、もっともっと表現すること。そのために必要なテクニックを習得すること。「歌」「オペラ」のように歌うこと。バッハやベートーヴェンを勉強すること。そして受講者全員に共通していた問題点。悲惨な場面、緊張感のある場面、深刻な会話。そんな音楽を、みんな「きれいに」「美しく」弾いてしまう。「善」な音のみ。・・・それは若くて人生経験が少ないから?T先生の「汚い音の出し方」「人を殺すような音で弾いてみて」というレッスンを思いました。ユイは将来、ちょいっと人と違う音を出せるヴァイオリニストになれるかもしれないな・・・。ただし、いつものボケボケを脱出して真剣に先生の教えを理解できるようになれば!ですが。

それにしてもヴェンゲーロフ、受講者へのリスペクトと愛に溢れた温かな指導と、観客を楽しませるアクションやジョーク、そして素晴らしい演奏。ヴァイオリニストとしてだけではなく、人としてお手本にしたい素敵な人でした✨
by kumi-is-happy | 2015-05-27 23:59 | ヴァイオリン